意外と知らない「シャンパンとスパークリングワイン」の違いは?値段や味わいはどうなる?
「ちょっと今日はゴージャスな気分で飲みたい!!」
そういう時によく選ばれるお酒であげられるのはシャンパンではないでしょうか?
キメ細やかな炭酸とリッチな気分にさせてくれるシャンパングラスを傾けて楽しむ優雅なひととき・・・。
ですが飲んでいるそのお酒、じつはシャンパンじゃないかもしれません。
その理由を知ればもっとお酒ライフが楽しくなると思うので、今回はシャンパンとスパークリングワインの違いについて取り上げていきます!
・シャンパンとスパークリングの味やお値段の違い
・意外と知らないシャンパンの厳格な規定
・よく飲まれている人気の銘柄
などなど・・・。
同じようでちょっと違う、そんなお酒についてわかりやすく解説します。
シャンパンとスパークリングワインの違いは?
はじめにお伝えすることは、シャンパンはスパークリングワインの一種であるということ。
「なら何がどう違うのか?」ということですが、
スパークリングワインの中でも、厳格な製造方法や条件をクリアしたものだけが「シャンパン」と呼ぶことができるのです。
またスパークリングワインは、「3気圧以上の炭酸ガスを含んだ発泡性のワイン」と定義されます。
もっと細かく言うと
- 3気圧以上なら「発泡性」 ←スパークリングワインに相当
- 1〜2.5気圧なら「弱発泡性」
- 0.5〜1気圧なら「微発泡性」
と分類され、シャンパンもスパークリングワインもすべて3気圧以上含んでいるということになります。
スパークリングワイン製法の種類について
シャンパンは、しっかりと定められた条件をクリアすることにより名乗ることが可能です。
どのような条件なのかを知るためには、スパークリングワインの製法について理解する必要があるので説明していきます。
▼スパークリングワインの製法は
- シャンパン方式 (伝統的方式)
- シャルマ方式
- トランスファー方式
- メリード・リュラル方式 (田舎方式)
- ガゼイフィエ方式 (炭酸ガス注入方式)
といった5つの種類が存在します。
これらを知ることで、スパークリングとシャンパンの違いがより具体的にわかるようになります。
シャンパン方式 [伝統的方式]
シャンパン方式を簡単に言うと、「瓶内で2度目の発酵を行い、発生した炭酸ガスを閉じ込めておく」製造方法 (瓶内二次発酵)です。
そうして出来上がる炭酸ガスは、粒度が非常に小さくて刺激を感じさせない口当たりとなり非常にエレガントな泡になります。
15〜36ヶ月ほどかけてじっくりと熟成させて完成させる、とんでもなく手間のかかる方法のため、販売価格も高くなることが特徴。
また、フランスのシャンパーニュ地方でこの方式で製造されるものだけがシャンパンと呼ぶことができます。
つまり他の国や地方でシャンパン方式にて製造しても、シャンパンと言わずスパークリングワインの位置付けとなるのです。
※ちなみに製造方式の別名で「メトード・トラディショナル方式」「シャンパーニュ方式」「伝統的方式」などと呼ばれることがあります。
シャルマ方式
シャルマ方式は、ガスが抜けないようにつくられた大型の加圧式タンクを使って二次発酵させる製法です。
ひらたく言えばシャンパン方式で用いられる「瓶内二次発酵」を簡略化した方法となります。
たくさんの量を一度に製造できてコストも抑えられているため、高品質なスパークリングワインが比較的安い値段で購入することが可能です。
しかし、シャンパン方式と比べると泡のキメや持続性は劣ります。
ですがフレッシュな果実味を感じ取りやすくなるため、「こっちが好きかも!」と感じる方もいるかもしれません。
シャルマという人物がこの製造方法を考え出したため、名前をそのままとって「シャルマ方式」と名付けられました。
トランスファー方式
トランスファー方式は、シャンパン方式とシャルマ方式の真ん中のような製法となっています。
というのも、瓶内で二次発酵させるまではシャンパン方式と同じで、そのあとにワインすべてを大型タンクへ移し変えて濾過を行う方式です。
タンクの中で糖分を含むリキュールの添加(ドザージュ)を行ったあとに再度瓶詰めを行います。
そうして出来上がるスパークリングワインは渋みの要因(タンニン)を取り除いているため、スッキリ飲みやすいテイストに仕上がります。
メトード・リュラル方式 [田舎方式]
おもに温暖な気候の地で用いられるリュラル方式は田舎方式とも呼ばれます。
リュラル方式で使われるブドウは、温暖な地で栽培されているため他の品種のものより糖度が高いことが特徴。
そのため一次発酵の途中でワインを瓶詰めして、ブドウの糖度だけで瓶内で発酵を完了させる製法となっています。
そのまま出荷されるためボトルには沈殿した澱(オリ)がそのまま残った状態です。
また他の方式と比べてアルコール度数も低くなっています。
歴史的に見ても古い製法ではありますが、いまでも南フランスの一部では使われています。
炭酸ガス注入方式 [ガゼイフィエ方式]
この名前の通り炭酸ガス注入方式は、瓶詰めしたワインに炭酸ガスを直接注入することで発泡性をもたせたスパークリングワインです。
シャンパン方式と比べて泡のキメは荒く、すぐに炭酸が抜けてしまいまうことが特徴。
ですが最も安価にスパークリングワインを楽しめるため、ちょっと軽く楽しみたい方にとってはピッタリです。
シャンパンがスパークリングより高価な理由
スパークリングワインの製法について触れましたが、その中でもシャンパン方式が最もコストがかかることがわかりました。
そのためシャンパンがほかのスパークリングより高価なんだな〜ということは予想がつくと思うのですが、ほかにも理由があるので説明します。
▼シャンパンが高価な理由は
- 最低でも15ヶ月以上の熟成期間が必要
- 保存場所、管理コスト、時間がかかる
- ブドウの品種が決まっており、原材料が高いことも理由
- ブドウ収穫はすべて手摘みをしなければならない
といったような要因があります。
これだけ面倒な工程を経て、やっと私たちの手元に届くのですね。
そのたリーズナブルなスパークリングワインと比べた時、シャンパンの方がはるかにクリーミーできめ細やかな泡立ちを堪能できます。
ひとくち飲めばすぐに広がるエレガントな香り、鼻を抜ける華やかさ。
ブレンドやブドウの品種によりますが、洋ナシやピーチ、アプリコットやはちみつというような表現によく例えられます。
シュワっと弾ける炭酸も爽快でキレがあるので飲みごたえバツグンです。
甘辛度によって呼び名が設定されている
お酒って一概に「こういう味!」ということは言えずに、大まかに分けて辛口・甘口、苦味・酸味といったようなカテゴリに分類されることがあります。
シャンパンも例外ではなく、甘辛度に分けて名称も違ってくるので紹介していきましょう!
無糖 | ナチュール (Nature) |
---|---|
超辛口 | エクストラ・ブリュット (Extra Brut) |
辛口 | ブリュット (Brut) |
やや辛口 | エクストラ・ドライ (Extra Dry) |
やや甘口 | セック (Sec) |
甘口 | ドゥミ・セック (Demi Sec) |
極甘口 | ドゥー (Doux) |
この甘辛度さえ分かっていれば、ボトルラベルを見るだけで味わいの判断は可能です。
ですので自分の好きな甘辛度やボトルを見つけやすくなるため、知っておいて損はないですね♪
ちなみに今のシャンパンの手中は辛口ですが、甘口なものもたくさんあるのでぜひお気に入りの一本を探してみてください!
国や地方によっても変わる名称について
「スパークリングワイン」は英語での表記ですが、じつは国によって名称が変わってくるのはご存知でしょうか?
たとえば日本ならスパークリングワインのことを「発泡性の果実酒」と表現できるように、各国でも定義されています。
またそれだけでなく、地方や製造方法でも変わってくるので、国別でご紹介します。
「フランス」での名称
フランスではこのような定義で呼ばれています。
シャンパン | シャンパーニュ地方で瓶内二次発酵方式で製造されるスパークリングワイン | – |
---|---|---|
クレマン | シャンパーニュ地方以外で二次発酵方式(例外アリ)で製造されるスパークリングワイン | ガス圧 : 3〜3.5気圧程度 |
ヴァン・ムスー | クレマンよりも気圧が高いスパークリングワイン | ガス圧 : 5〜6気圧 |
ヴァン・ペティヤン | エクストラ・ドライ (Extra Dry) | ガス圧 : 1〜2.5気圧以下 |
ヴァン・ペルラン | セック (Sec) | ガス圧 : 0.5〜1気圧 |
「イタリア」での名称
イタリアではこのような定義で呼ばれています。
フリッツァンテ | 微発泡性のスパークリングワイン |
---|---|
フランチャコルタ | 北イタリア ロンバルディアにて製造される高級スプマンテ(発泡性ワインのこと) |
プロセッコ | ヴェネト州にて製造されるグレラ種(ブドウの品種)を使用したもの |
ランブルスコ | エミリア・ロマーニャ州にて製造されるランブルスコ種(黒ブドウ土着品種群)を使用したもの |
「スペイン」での名称
イタリアではこのような定義で呼ばれています。
カヴァ | スペイン カタルーニャ州にて瓶内二次発酵方式で製造されるスパークリングワイン |
---|
「ドイツ」での名称
イタリアではこのような定義で呼ばれています。
シャムヴァイン | ドイツ語でスパークリングワイン |
---|---|
ゼクト | ドイツ国内で瓶詰めされたシャムヴァイン (国産) |
白以外のスパークリングワインはあるの?
シャンパンやスパークリングワインを頭に思い浮かべて赤ワイン・白ワインのように色分けすると、白色のイメージがありませんか?
それもそのはずで、スパークリングワインは白がメインとなってきます。
でもここで「白以外のスパークリングワインはないの?」と疑問を持つ方っているのではないでしょうか。
ふだん赤ワインばかり飲んでいる方などは探してしまうかもしれません。
結論を言えば、スパークリングワインは赤やロゼといった種類があるにはあります。
でもその数はかなり少ないので、めったに市場には出回らないでしょう。
これらの理由として色がついていると泡立ちが見えにくいというものがあります。
スパークリングワインの醍醐味はきめ細やかな泡立ちを眺めることです。
そのため色がついていると、その魅力が薄れてしまうということなんですね。
スパークリングワインを楽しむためのグラス
スパークリングワインを楽しむ際、どのようなグラスをチョイスすれば良いかご存知でしょうか?
ここでは泡立ちを楽しむのに適したグラスと香り・味わいを楽しむために適したグラスを紹介します!
泡立ちを楽しむならフルート型のグラス
スパークリングの泡立ちを楽しみたい!という気持ちが強い方は、フルート型と呼ばれるシャンパングラスがおすすめです。
スラっと細長いグラスの設計なのでスパークリングワインの泡立ちを目で楽しめます。
なかでもおすすめは「リーデル ヴィノム・シャンパーニュ」。
グラスの底に傷をつけているため、スッと立ち上がる泡をいつまでも眺めることができます。
香り・味わいを楽しむならふっくらしたグラス
シャンパンやスパークリング日本酒など、素材そのものの香りや味わいを楽しみたいのであればふっくらしたグラスがおすすめです。
フルート型のものよりは泡立ちが控えめですが、双方を比べて飲めば前面に出てくる香りがまず違うことに驚くはず。
いろいろなグラスがある中でおすすめなのは「リーデル ヴェリタス シャンパーニュ」。
グラスフォルムも美しく、かつお酒の味や香りを存分に楽しる設計になっています。
シャンパンの有名銘柄をご紹介
さいごによく選ばれている人気のシャンパン銘柄をご紹介します。
バーやラウンジなどでもよく目にするものを選びました。
ドン・ペリニヨン – Dom Pérignon
「ドンペリ」の愛称で親しまれており、日本で最も有名なシャンパンと言っても過言ではない「ドン・ペリニヨン」。
ふだんお酒を飲まない方も耳にしたことはあるのではないでしょうか。
まさに王道という言葉が似合う銘柄で、白・ロゼ・ゴールド・エノテークなどといった種類も豊富なシャンパンです。
ヴーヴ・クリコ – Veuve Clicquot
「ヴーヴ」、「ヴヴクリ」などの愛称でおなじみのヴーヴ・クリコ。
このお酒を知らない方でもラベルデザインは見たことがあるかもしれません。
こちらもドンペリ同様に、イエロー・ローズ・ホワイト・リッチどいったような種類があります。
イエローラベルが最も有名でスタンダードかと。
モエ・エ・シャンドン Moët & Chandon
よく「モエ」という愛称で呼ばれるモエ・エ・シャンドン。
ドンペリと同じくらい知名度が高い高級シャンパンではありますが、比較的リーズナブルで贈答品としてもよく選ばれています。
また披露宴や結婚式などでも振る舞われることが多いので目にしたことがある方が多いかもしれません。
まとめ
シャンパンとスパークリングワインの違いについて紹介し、国や産地による名称の違いやおすすめのグラス、銘柄などについても触れていきました。
いろいろな銘柄があるお酒なので、ぜひアレコレ試してお気に入りの一本を見つけてくださいね!
高知の酒屋 近藤酒店では店舗内にワインセラーもございます。
各国のワインをはじめ、スパークリングや主要なシャンパンも取り揃えているので、ぜひお越しください。
もし何かわからないことなどがありましたらお気軽に店舗スタッフにお声がけください。
各酒類ごとにエキスパートが在籍しておりますので疑問や悩みを解決できます。